shungo.arai

A marketer working for an social gaming company in Tokyo.
Filed under: DPRK Newsweek 

10年の韓国海軍哨戒艦撃沈と延坪島への砲撃を、金正日はなぜやめさせなかったのか。答えはおそらく、「軍の決定に異を唱えるほどの政治的権力がなかったから」だ。

当時の金正日にとって、より重要なのは体制維持のため、自らが指名した後継者に対する軍の支持を取り付けることだった。自分と同じく軍務経験がないまま「最高司令官」の座に就く息子は、軍にしてみれば指導者としての正統性に欠ける。韓国に対する人民軍の挑発攻撃を大目に見たのは、軍のご機嫌を取り、次の指導者への指示を獲得するためのものだったのだろう。

これが正しい答えかどうかは分からない。だが11年に、北朝鮮の関係者にこの答えを語った際、公の場でそんな話はするなと警告された。金正日は「最高権力者」ではない、と言うに等しいからだ。つまり、裏を返せば、私[=ケネス・キノシス 元米国務省北朝鮮分析官]の読みは当たっているということになる。

そのとおりなら、新たな「最高司令官」金正恩の下で北朝鮮がどうなるかも分かる。政治経験も人生経験も少ない若き指導者は、父親にも増して軍部に頼らざるを得ないはずだ。

— 「金正恩が頼り切る軍の支配」, ニューズウィーク日本版, 2012.1.4-11, p.32.