こうした「内向き志向」のアメリカという現象ですが、ブッシュの二つの戦争(アフガン・イラク)の反動であると同時に、オバマを大統領に押し上げた「ジェネレーションY」が持っている反戦的なカルチャーの反映、そして冒頭申し上げたような財政の苦しさ、ヨーロッパの経済危機から距離を置きたい心理など、色々な要素が絡まっているように思います。このトレンドは相当に長く続くことも考えられます。
従って、北朝鮮情勢に関してアメリカの取るスタンスは、(1)核拡散抑止の観点から後退は許さない、(2)民主化とか韓国による統一などは無理して欲張らない、(3)中国に責任をもった「仕切り」をさせる対応で構わない、(4)但し関係国の協調には目配りをする、というのが基本となり、その線を大きく逸脱することはないでしょう。悪く言えば、リーダーシップは取らないということになると思います。
アメリカは「世界の警察官」から降り、「自由と民主主義の十字軍」的な役割からも降りようとしています。その一方で世界情勢は複雑化が進んでいます。より多くのプレーヤーが、よりグローバルな市場と政治状況の中で、それぞれの利害を追求する時代になって来ています。アメリカにリーダーないし悪役を求める事ができない以上、各国の外交や経済政策の舵取りには、独立した観点からの大局観をそれぞれが持つことが求められる、そう考えるべきだと思うのです。
— [JMM667Sa]「多難な国際情勢下、それでも内向きなアメリカ」from911/USAレポート, 2011.12.24